似た情報しか出てこない検索で、公式サイトは何を見られているのか

遺品整理や特殊清掃を探す検索は、時間をかけて比べる検索ではありません。葬儀が終わって間もない時期だったり、管理している物件で急に対応が必要になったり、他人には相談しにくい事情を一人で抱えていたり。多くの場合、その日のうちに何社かを見て、どこかに連絡します。落ち着いて何週間もかけて選べる状況のほうが少ない。だからこそ、開いたページで何が分かるかが、そのまま依頼先の判断材料になります。

ところが、この領域で検索して並んだサイトを順に開いていくと、書いてあることがよく似ています。対応できるサービス、対応地域、作業の流れ、料金の考え方、そして安心して任せてほしいという趣旨の説明。どれも必要な情報ですし、書かれていること自体が間違っているわけでもありません。ただ、三社目を開いたあたりから、読んでいる側には差が見えなくなります。判断できる材料がないとき、人は価格か、たまたま先に見つけたかで決めます。

広島で遺品整理と特殊清掃を手がける事業者の公式サイトで、私たちが取り組んだのは、この状態を変えることでした。デザインを刷新したわけではありません。使えるものはそのまま使い、載せている情報の中身のほうを入れ替えていきました。あわせて、サイトの内部的な整備、更新のしやすさ、広告の運用も同じ方針で動かしています。出発点は、検索した人が「この会社なら分かってくれそうだ」と感じる材料が、公式サイトにほとんど載っていないという一点でした。

なぜ、どの会社のサイトも同じ内容になっていくのか

どの会社のサイトも似てくるのには、理由があります。この業界で公式サイトに載せるべき項目が、ほぼ決まっているからです。何をしてくれるのか。どこまで来てくれるのか。どんな手順で進むのか。いくらかかるのか。信頼していい相手か。依頼を考えている人が知りたいことは、会社が違っても大きくは変わりません。

知りたいことが同じなら、答える項目も同じになります。サービスの一覧があり、対応エリアが示され、作業の流れが順番に並び、料金の目安が表になり、資格や許可、秘密を守ることについての説明が続く。これは手を抜いた結果ではなく、むしろ真面目に作るほどこの形に近づきます。必要な情報を漏らさず載せようとした結果として、どの会社のサイトも似た構成になっていく。

問題はその先です。項目が揃っていることと、選ぶ理由が伝わることは、別のことでした。「丁寧に対応します」「ご遺族の気持ちに寄り添います」という一文は、書いていない会社を探すほうが難しい。読む側からすると、書いてある以上は否定できないけれど、他社と比べる材料にはなりません。似ているのは体裁ではなく、伝わってくる中身のほうです。

だから、この状態を情報量で解決しようとすると行き詰まります。同じ種類の情報を増やしても、増えるのは同じ種類の情報だからです。ページが増えるほど扱える話題は広がりますが、読んだ人の中に残るものは変わりません。ここを見誤ったまま進めると、作業量だけが積み上がっていきます。

記事は積み上がっていた。それでも違いが伝わらなかったのはなぜか

このサイトでも、記事は積み上がっていました。検索されているテーマを拾い、一定のペースで公開し続けていた。手が止まっていたわけではありませんし、この工程自体は必要なものです。書く対象を決めて、続ける。まずここができていないサイトのほうが多いくらいです。

それでも、違いは伝わっていませんでした。記事を読み返すと、書かれていたのは「一般的にはこうです」という説明でした。遺品整理とはどういう作業なのか。どんなときに専門の業者へ頼むことになるのか。費用は何で変わるのか。内容は正しい。正しいのですが、同じことを別の会社が書いても、ほとんど同じ文章になります。

一般的な説明は、読んだ人を「そういうものか」と納得させます。ただ、納得したあとに残るのは業界についての理解であって、その会社についての理解ではありません。最後まで読んでも、なぜここに頼むのかという問いには答えが出ない。そして本数が増えるほど、その性質の情報が増えていきます。

一般論になりやすいのには、書き手の側の事情もあります。記事を作る段階で手元にある材料が、公開されている一般的な情報しかなければ、書けるものは一般的な説明にしかなりません。現場を持っている会社であっても、その現場が記事を書く工程とつながっていなければ、サイトに載るのは誰でも調べられる範囲の話に留まります。中身の問題というより、材料の集め方の問題でした。

そこで変えたのは、書く量ではなく、書く対象でした。足すのをやめたわけではありません。次に足すべきものが本数ではないと考え直した、というほうが近い。載せるべき項目はもう揃っている。足りていなかったのは、その会社の中にしかない部分でした。

担当者に聞かないと分からないことを、どう情報に変えたか

方針が決まっても、何を書くかはすぐには出てきません。その会社ならではの部分は、たいてい文章になっていないからです。社内の資料にも、それまでのサイトにも載っていない。現場での判断や、積み重ねてきた経験は、担当している人の中にあります。

そこで、ヒアリングから始めました。聞いたのは、実際にどういう依頼が多いのか。相談してくる人が、どこで迷い、何を心配して連絡してくるのか。見積もりのときに現場の何を見ているのか。同じような依頼でも、どんな条件のときにやり方を変えるのか。作業が終わったあとに、どの部分について感謝されることが多いのか。

出てくるのは、聞けば当たり前に聞こえることばかりです。ただ、その当たり前は外からは書けません。何年も同じ現場に立ってきた人にしか持てない見立てや、依頼者がまだ言葉にしていない不安を先に察して動く判断は、業界の一般論をいくら調べても出てきません。話を聞きながら、これは書ける、これは書いても伝わらない、と一つずつ仕分けしていきました。

仕分けたものを、記事に戻していきます。一般的な説明として書かれていた部分を、実際にどう考え、どう動いているのかという記述に置き換える。見出しも変えました。「◯◯とは」という説明の見出しから、現場で実際に起きていることを指す見出しへ。判断の基準は単純です。その文章が、同じ業種の別の会社についての説明としても成り立つかどうか。成り立つなら一般論で、その会社についてしか言えないならその会社の情報です。

聞き取りは一度では終わりません。書き換えを進めると、まだ書けていない部分がはっきりしてきて、次に何を聞けばいいかが見えてきます。逆に、聞いた話をそのまま載せると読みにくくなる場面もあり、どこまでを表に出すかはその都度判断しました。現場の話を情報に変える工程は、取材と編集を交互に繰り返す作業に近いものでした。

置き換えの済んでいない記事は、まだ相当な数が残っています。いまも順に手を入れている途中です。それでも、書き換えた記事から先に、読む人の受け取り方は変わっていきます。自分と似た事情の話が具体的に書かれていれば、この会社なら状況を分かってくれそうだ、と感じられる。依頼を考えている人が本当に知りたいのは、作業についての一般的な説明ではなく、自分のような場合にどう動いてくれるのか、という部分だからです。

検索も広告も、ひとつの集客の土台として動かす

中身を変えても、読まれなければ何も起きません。だから同じ時期に、サイトの内部的な整備も進めました。ページの構造と見出しの整理、関連する情報どうしのつなぎ方、検索エンジンが内容を正しく読み取れる状態にするための技術的な調整。あわせてWordPress側にも手を入れ、担当者が情報を追加したり書き換えたりしやすい形にしています。書き換え続ける方針を選んだ以上、更新しにくい状態のままでは続きません。

広告の運用も、同じ流れの中に入れました。ここで大事にしたのは、検索と広告を別々の施策として扱わないことです。広告から来た人も、検索から来た人も、着地したあとに読むのは同じページになります。どの言葉で来た人が、どのページで何を確かめて、どこで相談しようと思うのか。その流れを一本で見たうえで、広告側の出し方とサイト側の中身を合わせていきました。

動かしたあとは、どの入口から来た人がどのページを見て、どこで読むのをやめているのかを確かめながら進めています。中身を変えた記事が実際に読まれているのか、広告から来た人が知りたかったことにページが答えられているのか。手を入れた結果を見て次の手を決める、という回し方でなければ、複数の施策を一つの土台として扱う意味がありません。

予算には限りがありました。だからこそ、すべてを一度に変えるのではなく、効果が見込める順に手を入れるという方針を先に決めています。デザインを全面的に作り直す選択はしていません。既存のサイトを活かしたまま、伝わり方のほうを変える。この判断は最初から変えていませんし、そのやり方でどこまでいけるかを確かめる仕事でもありました。

この取り組みは、いまも続いています。書き換えの終わっていない記事は残っていますし、聞き取れていない現場の話もまだあります。ただ、進む方向は決まりました。自分の会社のサイトを読み返したときに、同じ業種の他社にもそのまま当てはまる説明で終わっている箇所があれば、そこにはまだ伝えられていない経験や判断が残っています。読んだ人が依頼先を判断できる材料になるのは、そこから先の部分です。