古いSEO手法が残した負の遺産?自動相互リンクへの対処の事例
こんにちは、リードスペースです。
先日、大量の「相互リンク集」からのリンクが貼られたサイトに遭遇したので、その状況と対応についてお伝えします。被リンクのチェックと否認に、どのくらいの労力がかかるのか、よかったら参考にしてください。
サーチコンソールで発見した過去の被リンク
そのサイトは、あるお客さまのサイトでした。
数年前に作られ、SEO対策がうまくいかず低順位にとどまってしまい、SEOプロにご相談いただきました。
古いサイトだったので色々と内部改修を施し、さあこれからコンテンツを増やそうというところでした。
解析のため、サチコさん(Search Consoleの愛称:サイトの解析ツール)の設定をしました。
そして中をのぞいて発見したのが大量の「相互リンク集」からの被リンクだったのです!
そこから、リンクをひとつづつチェックして処理していく作業が始まりました。それがまた思いがけない難作業となりました。
そもそも被リンクとは?
被リンク処理作業について書く前に、「被リンクを処理?どういうこと?」という方のために基本をご説明します。「そんなんわかっとるわ!」という方は飛ばしてください。
被リンクというのは、他のサイトから自分のサイトに飛ぶように貼られたリンクのことです。
例えばこのように、他のサイトの運営者が自分のサイトを紹介してくれるような場合。
こちらのサイトは、〇〇の情報が詳しく書いてあっておすすめですよ
外部リンク(http://www.oooo.ooo.ooooo/ooo)
これは、まったく悪いことではありません。
サイトの内容が良質で、人気のあるサイトということで、むしろSEO的に加点される要素です。
では、問題のある被リンクとは?
これについては、検索の歴史について少し説明する必要があります。
1.ロボット検索エンジンがなかった時代
今のように高性能な検索エンジンがなかった頃、ユーザーは手動登録型の検索サイトを利用したり、個人が運営する「○○リンク集」のようなページをたどってネットサーフィンをしていました。
新しくページを作ったサイト運営者は、他のサイトからリンクを貼ってもらって認知を広めようとしました。
知り合いなどに「サイトをつくったので、リンクを貼ってもらえませんか?」とお願いし、リンクしてもらったらお返しに相手のサイトへもリンクを貼りました。
これが「相互リンク」と呼ばれました。
ですので、当時のサイトにはよく「リンク集のページ」というのがありました。
同じ趣味の人たちや、同じ地域の人たちがサイトを紹介し合ってネットを盛り上げていたんですね。
2.被リンクが人気のバロメーターに
いつしか、人気のあるサイトや大手企業のサイトには自然とリンクが集まり、アクセスが増えました。
アクセスの多いサイトの「リンク集」で紹介されたサイトも、アクセスが増えました。
多くのサイトからリンクを貼られているか、人気の高いサイトからリンクを貼られているか、というのがページのクオリティを測る一つの基準になっていきました。
3.Googleも被リンクを評価 相互リンクが加熱
当時のGoogleも、「被リンクが多いサイトはクオリティの高いサイト」という評価をしていました。
ところが、検索エンジンの普及にともない、検索対策のために被リンクの数を増やそうとする行為が加熱していきました。
「自動相互リンク集」や「リンクプログラム」なるものが登場し、「お金を払って大量にリンクを買う」「とにかくリンクの数だけ稼げばいい」という行為が横行するようになったのです。
4.ペンギンアップデートで過剰なリンクが粛清された
被リンク獲得があまりに加熱し、「被リンクの多いサイトがクオリティの高いサイト」という指標が意味をなさなくなってしまいました。
そこでGoogleは検索エンジンの大幅なアップデートを行い、数を稼ぐだけの過剰なリンクにペナルティを課しました。いわゆる「ペンギンアップデート」です。
これにより、大量の被リンクでSEO対策をしていたサイトの多くが検索順位を大幅に落とされました。
5.リンクを外す必要が出た
順位を落とされたサイトは、順位回復のために被リンクを解除する必要に迫られました。
相互リンク集から退会したり、リンク集の運営者に連絡をとってリンクを外してもらうわけですね。なかには、リンク解除を諦め、順位の下がったサイトを捨ててサイトを新しく作り直したケースも多かったのではないでしょうか。
今回のケースはGoogle search consoleで発見
Google search consoleで「検索トラフィック」→「サイトへのリンク」をクリックすると、自分のサイトへ貼られたリンクの数や、そのリンク元を見ることができます。
このサンプルでは「総リンク数:857」となっていますね。
お客様のサイトではこの数字が、サイトの規模と照らし合わせると不自然に多すぎる数でした。
この時点で嫌な予感。
過去にSEO対策として作られたリンク?
ドメイン名にカーソルを合わせて順々にキャプチャを見ていくと、ドメイントップの画面キャプチャを見ることができます。
リンク元はかなり古いサイトが多いようでした。
そして、「検索サイト」「相互リンク」「リンク集」などと書かれたサイトが多数あります。
さらには、桃色?というか肌色??のサムネイルが並ぶサイトがあったり、「出会い」とか「大人の、、、」とか、怪しげなコンテンツが目に入ってギョッとします。
もちろんなかには普通のサイトもあり、公共的なサイトや、自サイトの事業に関係がありそうなリンクもちらほらありました。
予測ですが、これらはおそらく被リンクが加熱したころのSEO対策の名残だと思われます。
サイトを作った業者か、その後SEO対策を依頼された業者、またはサイトオーナー自身が、「サイトの価値を高めるには被リンク数を増やさねば」と考えたのでしょう。そして、当時のセオリー通り、たくさんの相互リンク集に登録して被リンクを稼いだのでしょう。
順位が下がったまま放置されていた
当時のSEO手法としては間違ったことではありません。善意での対策だったと思われます。
しかしペンギンアップデート後、このような被リンクはSEOとしての意味がないばかりか、マイナス要素になってしまいました。
ちなみにこのサイトは、手動ペナルティは受けていませんでした。
もしかすると、この程度の被リンクは当時どこのサイトもやっていて、特別悪質ではないということでペナルティを免れたのかもしれません。
この被リンクが現在、順位審査時に減点要素になっているのか、単に無視されているだけなのかはわかりません。ただプラスになっていないことは間違いないでしょう。
リンクの詳細を確認する
さて、先程のドメイントップの画面キャプチャだけではどのようにリンクが貼られているかの詳細がわかりません。
詳細情報を見るには「その他のサンプルリンクをダウンロードする」を押してcsvファイルを見ます。
ただ、記載されたURLへ飛ぶのはちょっと待った!
「かなり古いサイト」や「若干いかがわしいサイト」が含まれていますので、変なものに感染する危険があります。
ブラウザをシークレットモードにしたり、ドメインの安全性チェックツールを使うなど、注意して閲覧しましょう。
なんだか、爆弾処理のようなスリルを感じませんか。どうですか。
「問題のない被リンク」と「問題な被リンク」を切り分ける
一つづつチェックして、「これは良くない」「これはセーフ」と分けていきます。
良い悪いの基準
場合によると思いますが、今回はこのように分けました。
- アダルトコンテンツなどいわゆる「いかがわしい」サイト→即アウト
- 「SEO効果アップのための自動相互リンク集」というような、いかにも業者感があるサイト→アウト
- 自サイトのテーマにさほど反しない、牧歌的な「相互リンク集」や「検索サイト」→グレーだが一応セーフ
- 自サイトのテーマと合致したリンク集や情報サイト→オッケー
URLを全部チェックして分けるのは途方もない労力でした。
ドメインだけチェックして、名の知れた公共サイト以外はいっそ全アウトでも良かったんじゃないかと思うくらいです。(それで問題ない場合もあると思います。)
本来は、できる限り解除手続きをするのが推奨されている
アウトの被リンクをどうするか、
本来はそれぞれのリンク元サイト運営者へ連絡し、「うちのサイトへのリンクを外してください」と依頼するのが推奨されています。
ですが、今回それは断念しました。
あまりに古いサイトが多く、そういったサイトの送信フォームなどを利用することで、個人情報流出やウイルスへの感染を恐れたためです。
リンク否認ツールを使用
Search Consoleに「リンク否認ツール」というのが用意されています。
https://www.google.com/webmasters/tools/disavow-links-main
できるかぎり削除依頼をしたが、どうしても悪質な被リンクが削除されない、というときに使う機能です。
Googleに対して被リンクのリストを送信し、「この被リンクがあるからってうちのサイトの順位を下げないでください!この被リンクは審査から外してください」とお願いすることができます。
効果が出るには時間がかかる
低品質なリンクによってサイトの順位が下がっていたとして、リンクの否認で順位が戻るとしても数週間かかると言われています。
また、そもそも自サイトの品質が高くなければ、順位は変わらないかもしれません。
労力をかけた割には、なんとも掴みどころのない話ですね、、、
今回のケースは、現在リンクを否認して一週間、順位は上昇傾向にあります。
ただ、サイトの他の部分にも手を加えているのでなんとも言えない、というところです。
「こんなに面倒そうな対処、コスパが見合わないんじゃない」と思うでしょうか。
実際「明らかな手動ペナルティを受けているんじゃないなら、被リンクなんて気にせず良質なコンテンツ生産に注力したほうがいい」という意見もあります。それも一理あります。
あまり神経質に取り組まず、「できることはなんでもやっておく」「他にできることがなければやる」というスタンスでもいいのかもしれません。
「被リンクの解除と否認をやるべきかどうか」と迷っている方に、うちの今回の事例が参考になれば幸いです。